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研究科長メッセージ

 東京海洋大学大学院・海洋科学技術研究科では,「地球規模での海洋に関わる諸問題の解決と海洋自体の持つ可能性を追求し,博士前期課程では専門基礎教育に立脚した高度専門職業人を養成し,博士後期課程では先端領域を切り拓く自立した高度専門職業人や研究者を養成する」ことを教育研究上の目的としています.研究科には博士前期課程(修士課程)に7専攻(定員228名),博士後期課程(博士課程)に2専攻(定員40名)が設置されており,約660名の学生が自らの研究目標を達成すべく,日夜研究に励んでいます.日本を取りまく海洋は全世界に繋がっていますし,学生の約1/5は留学生ですので,現在,研究科ではグローバル化と教育の質保証を伴う教育・研究の改革を重点課題として精力的に取り組んでいるところです.

 2019年度に本学は文部科学省に申請した「海洋産業AIプロフェッショナル育成卓越大学院プログラム」が同省「卓越大学院プログラム」に採択されました.このプログラムは,海洋に関するビッグデータ解析や機械学習法をリテラシーとして身につけ,本学が有する専門知識とフィールドに関する豊富な経験を元に,的確に人工知能の性能評価を行い,その社会実装を主導するイノベータ・高度専門技術者あるいは海洋関連政策の立案を行う人材を養成するもので,5年一貫性博士課程の教育プログラムを構築するものです.すでに2020年度に一期生を迎えることができました.海洋産業へのAI導入という新たな社会へ対応する研究の推進のみならず,博士論文研究基礎力試験(Qualifying Examination: QE)の導入など教育改革の取組みを一層進めるものでもあります.

 2016年度に文部科学省「大学の世界展開力強化事業」 『「日中韓版エラスムス」を基礎とした海洋における国際協働教育プログラム』が採択され,ヨーロッパで実施されているボローニャ・プロセスに準拠した教育の質保証を達成し,海洋分野における国際的な高度専門職業人を養成することを目的としたさまざまな取り組みを実施しています.本プログラムでの取り組みは大学院シラバスの改善に反映されるとともに,サマースクールやダブルディグリープログラムなどの新たな教育プログラムの開設にもつながっています.博士前期課程での共同学位プログラムやECTS(the European Credit Transfer and Accumulation System)と同等の単位互換制度による学生交流は,今後,東南アジアや欧米の大学へと拡大していく予定です.

 これ以外にも,大学院での講義の英語化や文部科学省「国費外国人留学生の優先配置を行う特別プログラム」など様々な特色ある取組みを通して,留学生だけではなく,日本人学生も国際的視野を広めることができる大学院でありたいと考えています.

 2020年は新型コロナウィルス感染拡大により,本研究科も対面による国際交流や学生の海外派遣に多くの支障をきたしました.しかし遠隔授業への転換による海外からの授業参加など,新しい研究・教育のあり方が発現したことも事実です.教員の教育・研究環境を「新しい生活様式」に適合させることは必須ですが,同時に質を低下させることなく,学生の大学院生活環境を改変することにも留意していきたいと思っています.

大学院海洋科学技術研究科長
兵藤 哲朗

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