タイトル:細胞内カルシウム測定。
目的:アレルギー性炎症に関与する分子のメカニズムの解明のひとつとしての細胞内カルシウム測定。
タイトル:細胞内カルシウム測定。
目的:アレルギー性炎症に関与する分子のメカニズムの解明のひとつとしての細胞内カルシウム測定。
実施時期:7 月と8 月15日間程度を予定している。時期に関しては、受講生の都合も配慮。
食機能保全科学専攻1F掲示板等。
細胞は、外的刺激に応じて受容体を介するとともに、細胞内のカルシウムイオン濃度を一時的に上昇させることにより、細胞内情報伝達系を動かして多岐にわたる応答、例えば分泌、神経の興奮、筋収縮、受精、細胞分裂、細胞死等を引き起こす。ナトリウムやカリウムイオンと比べて、カルシウムイオンは、細胞内外で極端な濃度差をもっている。細胞外濃度が10-3M であるのに対して内は10-7M 以下と、極端に低い。高度な分化と制御機能をもつ細胞は、細胞内のカルシウム濃度を上昇させ、有意でほとんどデジタルな(significant and discrete)情報を生成する。最近では、蛍光物質Fura-2 を用いることによって、かなり細胞内カルシウム濃度を測定することができるようになり、単一の細胞についても分析できるようになった。
そこで細胞内カルシ濃度の測定:分光蛍光光度計を使用して、細胞内に取り込んだFura-2 とカルシウムの結合を応用したカルシウム濃度の測定を行なう。実験ごとに、工学的応用の知見と生物的意義を説明し、指導を行なう。
実際には、本研究室で肥満細胞の活性化を起こすことが明らかになった天然物素材と商品化された化学物質を使用する予定である。培養細胞の取り扱い、Fura-2AM の生物的特性や蛍光学的特性をレクチュアした後、細胞内に取り込んだFura-2 とカウシウムの結合を応用したカルシウム濃度の測定を行なう。細胞内カルシ濃度の測定の意義を、電位依存性カルシウムチャンネル、小胞体(ER)からのリアノジン受容体を介するカルシウム遊離、IP3受容体を介するカルシム遊離、カルシウム排出機構という大枠のシステムの中で理解することができるようにレクチャと実験実習とをとりまぜる。本学卒業生である特別研究員西川洋史博士の協力も得る。
データ解析には、表計算ソフトを用い、併せて用量依存性( Effective Concentration at30%)や抑制濃度(inhibitory concentration at 50%)、相乗性(synergistic)や相加性(additive)いう毒性学あるいは薬理学の概念を会得する。最後に、細胞膜のレセプター受容体を介する細胞外からのカルシウムの流入の生物学的薬理学的意義を講義し、カルシウムの動きを解析する方法を総合的に理解するようにする。
参考資料: Bradykinin-induced cytosolic Ca2+ oscillations and inositol
tetrakisphosphate-induced Ca2+ influx in voltage-clamped ras-transformed NIH/3T3
fibroblasts.Hashii M, Nozawa Y, Higashida H. J Biol Chem. 1993 Sep 15;268(26):19403-10
このように、本インターンシップは、細胞機能の根源に関わる細胞内カルシウムの意義と測定を学ぶことにより、工学と生物学と医学の連携を如実に会得するための最適の教材である。